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プリンセス・マサコ [時事]


今月の雑誌「創」にジャーナリストの浜名純氏が
講談社から出版される予定だった
Ben Hills 著 Prinsess Masako の日本語版が
発売中止になった経緯を書いている。
誰もが思い浮かべる構図は、
国、とくに宮内庁からの圧力で、
講談社が出版を断念したというものだ。
ところが、浜名氏はそんな事実はなかったという。
実際はこうだ。
原著を子細に検討した宮内庁と外務省は、
本書が「天皇陛下をはじめとする皇室の方々、
さらには日本国民を侮蔑するもの」だとして、
オーストラリアの版元と著者に抗議した。
さらに、日本政府から抗議を受けたことを、
邦訳の出版を予定している
「日本の当該出版社に伝えるべきことを要求」
したというから話はややこしい。
つまり、日本政府は、直接、講談社に
圧力をかけたわけではなく、
オーストラリアの版元と著者に
謝罪を求めるとともに、
日本政府から抗議を受けたことを
日本の版元(講談社)に伝えさせたのである。
このあたり日本の官僚はさすがにさえている。
講談社はじわりじわりと迫りくる
間接的な圧力に抗して、
それでも『プリンセス・マサコ』の日本語版を
出版しようとした。
原著はいかにも海外のジャーナリズムらしく、
日本の皇室に対して遠慮がない。
「菊の玉座の囚人」というサブタイトルも
強烈だが、各章の見出しも
たとえば「父さんっ子[マサコ]」「マザコン皇太子」
などとなかなか刺激的だ。
ここまで人をからかうような言い方を
しなくてもいいのに、とさえ思ってしまう。
それでも、講談社は最後まで、
何とか日本語版を出そうとして、
事実関係の間違っているところや、
表現の不適切なところを中心に、
原著の一部を修正、削除することを
著者に求め、著者も基本的に了承したらしい。
浜名氏がベン・ヒルズ氏に取材したところでは、
修正は149カ所にのぼったという。
カットされたのは、たとえばこんなところだ。
「ロイヤルカップルは
絶滅危惧動物の最後の一組である」
お妃候補は
「けっきょくのところ処女が好ましい」。
文仁親王は
「東京やバンコクのナイトクラブに出入りし、
手が早い」。
それだけではない。
浜名氏の取材に対し、ヒルズ氏は
「第二次世界大戦に対しての天皇の戦争責任を
述べたケン・ルオフの引用をなぜ削除するのか」
と怒っている。
ケン[ケネス]・ルオフの『国民の天皇』は
日本でもきちんと翻訳され、
大佛次郎論壇賞を受賞しているから、
この点に関してはヒルズ氏が怒るのも無理はない。
そして、けっきょくはマスコミの取材に対して、
ヒルズ氏が、事実関係も含めて、
「謝罪する必要は何もない」と突っぱねたため、
講談社もついに業を煮やして、
日本語版の出版を取りやめることになったという。
海外で出版される皇室ものは要注意である。
同じ講談社から出たビッグスの『昭和天皇』も
いい加減なところの多い本だった。
プリンセス・マサコの病状は、
いまは静かに見守るしかない。
おもしろおかしく騒ぎ立てなくてもいいではないか。
そう思ういっぽうで、ぼくのようなアマノジャクは、
まちがっていてもいいから、
海外で評判になった本は
日本で出版されてもいいのではないか、
という気持ちもある。
出版社が検閲のようなことをする必要はない。
まちがっていれば、笑い飛ばせばいい。
読みたくなければ買わなければいい。
まちがいだらけの『マオ』だって出ている。
日本では『ザ・レイプ・オブ・ナンキン』や
『プリンセス・マサコ』も自由に読めない
と思われることのほうが、国際的には
よほど情けないという考えが脳裏をよぎる。


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お勧めサイト

「日本のダイアナ:神話も伝説もない雅子皇后の物語」という記事がマリクレールのロシア版にありました。
http://www.marieclaire.ru/psychology/yaponskaya-diana-istoriya-printsessyi-masako-bez-mifov-i-legend/
「悲しみのプリンセス・菊の玉座の囚人」と同情されてきた雅子妃だが、それは本当か?…という記事です。
google翻訳などで訳して読んでみてください。
by お勧めサイト (2019-07-06 14:53) 

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