SSブログ

ぼくの「いける本・いけない本」(09年3月〜9月) [本]

ことし3月から9月に出た本で、ぼくの「いける本・いけない本を選んでみました。

【いける本】
これから、こんなふうに生きていけたらと思う本を3冊。
○鶴見俊輔『不逞老人』(河出書房新社)
41CHHJEx1OL._SL160_PIsitb-sticker-arrow-dp,TopRight,12,-18_SH30_OU09_AA115_.jpg NHKのETV特集で放送された黒川創との座談がもとになっている。名著『期待と回想』(朝日文庫)の焼き直しにはちがいないが、端々にライブならではの発言が光る。「人間は基本的に間違っているから、実は死んだほうがいいくらいだというのが、私の立場だ」「[私は]ずっと不良少年なんだ」「『人民の記憶』というのは、私にとっては『国民の記憶』より重大なんです」。これからはアナーキーだ。
○吉本隆明『全マンガ論─表現としてのマンガ・アニメ─』(小学館クリエイティブ)
515WZdAFMnL._SL160_AA115_.jpg 吉本さんに驚嘆するのは、常に〈現在〉への関心を失わないことだ。それともうひとつ、人間の尊厳と国家の尊厳は両立しない、人間の尊厳が第一で、そのためには国家はゆるやかに開かれ、やがてなくなっていくようにもっていくより仕方がない、と言い切ってしまうところがすごい。マンガやアニメは殿堂入りしたら、おしまいなのだ。
○木田元『ピアノを弾くニーチェ』(新書館)
41WWB5xT6AL._SL160_AA115_.jpg ハイデガーやニーチェ、アリストテレスというと、むずかしい本にみえるかもしれないが、実のところ寝転びながら読める。これからもう一度哲学に挑戦してみたいと思う人のために「哲学の醍醐味が味わえる二十冊」といったガイドもある。文学者や哲学者のエピソード、小説やミステリーの紹介、パピルスや羊皮紙の話、それこそ本にまつわる話題(映画や食べ物の話も)が、きら星のごとくちりばめられている。ああこんなふうに本といっしょに最期まで過ごせたら幸せだなと思わず感嘆してしまう一冊である。
【いけない本】
これから、もっと考えていかねばならないと思う本を3冊。
●村上春樹『1Q84』(新潮社)
41shjjawEPL._SL160_AA115_.jpg41wyR3LA5GL._SL160_AA115_.jpg 中途半端に投げ出された感じ。聞くと第3巻が来年でるとのこと。それなら早く言ってほしい。爆発的に売れたのはけっこうだが、みんなが騒いでいるほどいい本だとは思わなかった。『象の消滅』に入っているような短編のほうが好きだ。
●小熊英二『1968─(上)若者たちの叛乱とその青春(下)叛乱の終焉とその遺産─』(新曜社)
41mpmtkb4XL._SL160_AA115_.jpg 51vu7kwKFSL._SL160_AA115_.jpg読んでいるとアブラ汗が出てきた。恥ずかしいあのころを思い出した。からだによくない。まな板にのせられて料理されているような気分だ。あれは壮大な空虚ではなく、よかれ悪しかれ、ひとつの出発点だった。
●小林よりのり『天皇論─ゴーマニズム宣言special─』(小学館)
51MH8NCqU6L._SL160_AA115_.jpg 不逞の輩には、やはりついていけなかった。それでも、右であれ左であれ、わが祖国という思いはある。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0