SSブログ

万葉集(第2巻)[85〜95] [超訳「万葉集」]

ラブソング
■仁徳天皇(255-399、在位313-399[まるでガルシア=マルケスの『百年の孤独』みたいだ])の時代
皇后の磐姫(いわひめ)が女のもとを転々とする天皇を思って作った歌4首
[85]
あなたが出ていってから
もう何十日
山道をたずねて
迎えにいきましょうか
それともここで
じっと待ったほうがいいの

[86]
こんなふうに
焦がれるのはもういや
高い山の岩を枕にして
死んでしまいたいわ

[87]
それでもずっと
あなたを待っているわ
長い私の黒髪に
霜が降りるみたいになっても

[88]
秋の田の穂のうえに
朝霧がかかっている
私の恋も
いつまでももやもや

■別の本に残されたもの([87]の異歌)
[89]
夜通し
あなたを待つわ
まっくろな
私の髪に
霜がおりてきても

■仁徳天皇の皇子、軽太子(かるのひつぎのみこ)が実の妹、軽太郎女(かるのいらつめ)と密通し、そのため伊予松山に流されたとき、恋しさのあまり彼女が追いかけていって作ったとされる歌(これは『古事記』によるが、別の言い伝えもある)
[90]
あなたが行ってから
ずいぶん日がたった
山たづ[植物、ニワトコ]のように
たずねていきたい
がまんしろといわれても
もう待てないわ

■天智天皇(626-672、在位668-72)の時代
難波にいた天皇が自分のもとを離れる鏡王女(かがみのおおきみ)に渡した歌
[91]
おまえの住んでいるところを
これからもずっと見たいものだ
大和の大島の嶺[信貴山の]あたりに
家があればよいのに

■鏡王女がそれに応えた歌
[92]
秋山の樹の下を
ひっそり流れていく
水のように
わたしのほうこそ
みかどのことを
お慕いしています

■内大臣の藤原鎌足が鏡王女に言い寄ったとき、鏡王女が鎌足に贈った歌[宴席の歌か]
[93]
玉くしげのように
だいじにしているものを
あっさりあげてしまうなら
あなたはご自慢でしょうが
わたしはおことわり

■藤原鎌足が鏡王女に応えた歌
[94]
玉くしげを見たい
みんまど山の
かわいいさな葛(かづら)さん
いっしょに夜をすごせないなんて
あんまりじゃないの

■藤原鎌足が采女(うねめ)の安見児(やすみこ)を賜ったときの歌
[95]
わしはそれ
安見児をちょうだいしたぞ
だれも手の届かなかった
安見児をちょうだいしたぞ

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0