SSブログ

4月13日のニューヨークタイムズ [時事]

きのう日本政府が福島第一の原発事故を、最悪のレベル7と発表した件について、きょうのニューヨークタイムズは、きわめて厳しい見方をした記事を流していました。海外メディアをいちいち気にすることもないのですが、日本国内の報道とあまりに論調がちがうので、参考までに紹介しておくことにしましょう。
日本政府や東電はこれまで事態は沈静しつつあるといいつづけてきたのに、なぜ1カ月たった時点で、原発事故で大量の放射性物質の放出があったと発表したのか、と記事はのっけから皮肉な口調です。
保安院の発表は、福島第一の放射能放出は、チェルノブイリ原発事故の10分の1だが、国際的な事故評価尺度(INES)にしたがって、レベル7としたというものです。ニューヨークタイムズは、これをみてもこれまでの日本のデータと評価がいかにでたらめであったかがわかるとして、政府はわざと発表を遅らせたのではないかとの疑いを露わにしています。
そして、原子力安全委員会の代谷誠治氏が、記者に対し、政府が放射能放出量データの発表を遅らせた理由を、観測数字のブレが大きすぎたことに加えて、こんなふうに説明したというのです。
「ほとんど心配がないと思われるときでも、外国人のなかには日本から逃げ出した人がいます。もしレベル7だとすぐにわかれば、パニックを引き起こしたかもしれない」
同紙は、きのうの記者会見で、菅首相が記者の質問に答えて、「都合の悪い情報を隠すような真似は一切していない」と発言したと紹介しています。
しかし、東京電力の松本純一原子力・立地本部長が当日の記者会見で、放射能漏れは完全には収まっておらず、ひょっとしたらチェルノブイリを超えるかもしれないと発言したことを大きく取り上げました。
これに対し、保安院の西山英彦審議官は夕方の記者会見で、「どういうことをおっしゃっているのかわからないが、東京電力としては最悪のシナリオを想定されたのだと思うし、自分たちが楽観的すぎると思われたくないのだろう」と弁解し、これから大きな放射能漏れはまずないとみていると語り、チェルノブイリほどの健康被害はないと強調したと伝えています。
記事ではSPEEDI(スピーディ)と呼ばれる放射能影響予測システムが存在することも紹介しています。この数字がなかなか公表されないのです。
ところが、記者の電話取材に対して、東京電力の関係者が「スピーディによると、福島第一から放出された放射能物質の量は、日本政府の公式発表よりずっと多く、チェルノブイリの半分近い値を示しているという話を聞いた」と語ったと書いています。
政府はこの情報はまちがいだとしていますが、保安院と原子力安全委員会のあいだで37万テラベクレルと63万テラベクレルと放出量の数字に食いちがいがあるのも事実です。
保安院が発表したチェルノブイリの10%程度という数字にもからくりがあるといいます。日本政府は、公式発表の2倍をチェルノブイリにおける実際の放出量と計算して、10%程度という数字を導きだしたというのです。
そして、記事は最後に、外部の見方では、福島においては低い評価でチェルノブイリの6%、高い評価で51%の放射能洩れがあったとされていると紹介しています。
必要以上に恐れることはないにしても、この原発事故を海外のメディアが厳しくとらえていることを頭にいれておくべきでしょう。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0