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「世界最古の洞窟」の中で [映画]

某日。
銀座は久しぶりだ。日劇東宝シネマズで、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の映画『世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶』を見る。
いわば映画館という洞窟のなかで洞窟の映画を見るわけだ。
南フランスにあるこの洞窟は1994年に3人の考古学者によって発見され、その代表者の名前をとってショーベ洞窟と名づけられた。その奥には3万2000年前に描かれた壁画が残されていた。ラスコーやアルタミラより2万年も古いというから驚く。現在、洞窟内への立ち入りは厳しく制限され、これからも一般公開される予定はないという。
洞窟01.jpg
映画のパンフレットから、いくつかの壁画を紹介しておこう。
大きな岩壁に何頭もの馬が描かれている。並んで疾走している。激しい息づかいまで聞こえてきそうだ。
その下に描かれているのはサイだろうか。右のほうにはイノシシや牛らしきものの姿も浮かびあがる。
洞窟02.jpg
別の壁に描かれているのはライオンだ。オスのライオンにたてがみがないことからすれば、これは現在アフリカでみられるのとはちがう種類なのかもしれない。
イノシシや牛みたいな動物たちはいまにも飛びだしてきそうで、群れをなしているのがわかる。そのなかでもライオンはひときわ大きい。まるで神のようだ。
洞窟03.jpg洞窟04.jpg
闇の中に祭壇のようなものが浮かび上がる。クマの頭蓋骨がのせられている。人の手形は、おれたちはここで生きていたという証のようなものだ。
洞窟は祈りの場だったにちがいない。旧石器時代の古代人は、ここでいったい何を祈っていたのだろうか。
これからも食料となる動物に恵まれますように。功利的に考えれば、そうかもしれない。でも、願いはもっと深かったのではないだろうか。
ヒトを含め、生きとし生けるものが、あらたな姿に命を伝え、この世界が消滅することなく、いつまでも残っていきますように。洞窟には、そんな願いが満ちているような気がした。
それは、たぶんいまのわれわれの思いと少しも変わらない。この洞窟は現代人の心の奥に開かれた祭壇の場でもある。壁画に精霊の動きを感じた。

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