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15日間エジプト・トルコツアー(1) [旅]

1日目 2012年6月13日

トラピックス(阪急交通社)の格安ツアーで、エジプト・トルコツアーに行ってきました。おなじみの観光地を回るツアーです。とはいえ、エジプトとトルコはどちらも古い歴史をもち、現在はともにイスラムの国でもあるので、いろいろ考えさせられるものがありました。
気の向くまま、いろいろ思いだしながら、旅の話などを書いておくことにしましょう。
カイロまでは夜の旅でした。夜の9時半ごろ成田を出発したエジプト航空は、12時間ほどかけてユーラシア大陸南部を西に飛行し、現地時間の未明3時半ごろ、カイロに到着します。
500人近く乗っているかと思われる大型機を埋め尽くしているのは、ほとんどが日本人のツアー客で、われわれ夫婦も約80人の一団に含まれています。
出発が夜だったので、この日はそれまでの時間が落ち着かず、家で本を読んだり、テレビを見たり、部屋を片付けたりして、無聊のまますごしました。
しかし、考えてみれば夜の出発というのは、それなりの合理性があります。時差の関係もあって、朝出れば夕方に、夜出れば明け方エジプトに着くのですから、観光を考えれば、やはり夜行のほうが効率がよいということになります。
それにしても、たまたま隣り合った人が話したように、「旅行社はよう人を集めたな」というのはたしかです。
成田とカイロを結ぶエジプト航空は週2便。そのほとんどが観光客で埋まっています。
エジプトはよかれあしかれ観光の国です。
あとで聞いた話では、世界中からエジプトを訪れる観光客は年間約800万人といわれます。そのうちいちばん多いのは、意外なことにロシア人で、160万人。遺跡巡りより、紅海沿岸のリゾートで過ごすことが多いようです。
日本人は10万人。この数字は妥当なところでしょう。
エジプト航空は機内でアルコール類が出ないので、成田の免税店でビールとワインを買って機内に持ちこみました。
離陸後1時間ぐらいして、食事になります。チキンかビーフかフィッシュか、といわれて、あらためてポークがないことに気づきます。
飛行機に乗る前、空港のロビーでメッカに向けてお祈りしている3人連れのアラブ人を見かけました。イスラムの国に行くんだと実感します。
飛行機の中では、いつもなら見る映画も見ずにぐっすり寝てしまいました。
日本人のスチュワーデスはともかく、エジプト人男性のアテンダントはどちらかというと無愛想で、おっかない感じがします。
しかし、それは偏見で、言葉を交わしあうことができれば、かれらも本当は親切な好漢かもしれないと思いなおします。
そのあたり、どうしても文化の壁を感じてしまいます。その間隙を埋めるのは、本当はわれわれのほうなのでしょう。
それにしても、かれらの雰囲気が暗いのは、エジプトという国が抱えている不安がどこかに影響しているのかもしれないとも考えます。
ビールとワインで勢いをつけて少し眠ったあと、のどが乾いたので、機内のいちばん奥に水をもらいにいくと、3人のエジプト人アテンダントが、何やら深刻な顔をして話しこんでいました。
水をいただけませんかといっても、しばらく相手にしてくれません。ようやく、めんどくさそうに立ちあがり、紙コップにミネラルウォーターをそそいでくれました。
DSCN6016 2.JPG
2011年2月、民衆暴動によりムバラク独裁政権が倒れました。「アラブの春」と呼ばれる一連のできごとのひとつです。
その後、軍部が暫定政権をつくり、ちょうどわれわれがトルコ旅行中の6月16日と17日に大統領選挙の決選投票がおこなわれることになっていました。
候補者はふたり。元エジプト空軍司令官で、ムバラク政権時代に最後の首相をつとめたシャフィーク氏と、ムスリム同胞団のムルシ氏です。
シャフィークが勝てば、ムバラク政権とさほど変わりなく、「アラブの春」は砂塵のなかに消え去ってしまうし、ムスリム同胞団のムルシが勝っても、宗教的な統制色が強くなるのではないか。
アテンダントのあいだに重苦しい空気がただよっていたのは、かれらがそんな懸念を感じていたせいかもしれません。
選挙結果の発表はずいぶん長びき、6月24日になってムルシ氏の当選が発表されました。
その間、われわれはずっとトルコを回っていたのですが、エジプトで軍がクーデターを起こすのではないかという懸念はずっとつきまとっていました。
選管の発表でそれが払拭されます。
新大統領に当選したムルシ氏は、イスラム主義を前面に打ちださず、全国民の権利を守ると宣言します。
旅行最終日の15日目、カイロから成田に戻る機中、眠りから覚めたぼくは、また水をもらうため最後尾に歩いていきました。
奥では例によって、アテンダントたちのおしゃべりがつづいています。
しかし、その雰囲気は前とちがって何となくなごやかです。
水を飲み終わって、コップを戻し、ありがとうというと、ひとりの男性アテンダントが満面の笑みを浮かべました。
アラブの春は消えなかったと確信した一瞬です。

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コメント 1

pom405

エジプトも12時間かかるんですね。
来週、ロンドン行きます。
関西から14時間半ほどです。乗継合わせてです。

緊張する情勢の国は怖くて・・・。

記事を読んで思いました。

アテンダントの対応は旅には影響大ですよね。
私も、来週どんなたびになることやら。
エジプトの続き楽しみにしています。
by pom405 (2012-06-30 21:41) 

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