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特定秘密保護法について [時事]

 いつのまにか、あれよあれよという間に、特定秘密保護法が成立してしまった。これからどうなるのか、不安が残る。政府はますます信用できなくなった。
 特定秘密保護法は安全保障やテロ、スパイに対応することが目的だというが、そもそも、なぜ急いでいまこの法律をつくるのかは、政府から一度も説明されたことがなかったように思う。
 なぜ、森まさこという少子化担当大臣が、この法案を担当したのかも、よくわからなかった。ほんらいなら、防衛大臣とか、外務大臣が表に立つべきなのに、なぜ、とつぜんそれまであまり知られていなかった女性大臣が登場してきたのか。そこにも、うさんくさいものを感じていた。
 安倍総理は女性重視といいながら、弁護士出身の女性政治家をうまく利用して、一見ソフトなイメージを打ちだし、強引にこの法案を通したのではないだろうか。森まさこという人は、自分でこの法案を担当したいと名乗りでたのだろうか。そうではあるまい。おそらく、総理に頼まれて、意気に感じ、職務を忠実に遂行しただけなのだ。
 要するに、ほんとうのことを言えないのが、この法律の秘密たるゆえんなのだ。防衛大臣や外務大臣、あるいは国家公安委員長が表に立つと、ことを生々しくしすぎるという配慮がどこかではたらいたのかもしれない。
 以下はぼくの憶測にすぎない。
 どうやら日米安保条約をより深化する日米軍事秘密協定が結ばれようとしている。憲法上、日本は軍隊をもてないことになっているが、予算面だけでみると、日本はすでに世界第5位の軍事大国なのである。新しい日米軍事条約は、在日米軍の指揮下に自衛隊を編入し、極東の軍事危機に対応するとともに、米軍の世界戦略に自衛隊の協力を求めようとするものだ。
 すでに米中冷戦がはじまっている。米軍は中国と北朝鮮を仮想敵国とする軍事戦略を練っており、ふだんから自衛隊を補助部隊として利用したいという構想をもっている。そのため日本側と綿密な打ち合わせをしなくてはならず、そのさい、米軍のつかんでいる情報を日本側に伝える必要もでてくる。それが「特定秘密」なのだ。
 中国側もまた日米の軍事態勢を必死で探ろうとするだろう。場合によっては、日本国内の反米グループを利用したテロに走る可能性もある。とうぜんスパイ活動もさかんになるだろう。特定秘密保護法はそうした動きを未然に封じるための動きとみられなくもない。
 しかし、憶測は憶測を呼び、さまざまな拡大解釈がなされうる。
 特定秘密保護法には、全国津々浦々から反対の声が巻き上がった。なかには、戦前の国家総動員態勢を連想し、ふたたびそうした時代がおとずれる危険性を訴える声もある。また、かつての治安維持法の時代を思い起こし、日本国憲法で保証されている言論の自由、国民の知る権利が奪われるのではないかと懸念する人もいる。その心配はよくわかるし、こんなブログを書いているぼく自身、いつか警察に逮捕されるのではないかという不安もなくはない。
 それでも特定秘密保護法とやらが成立したいま感じるのは、いよいよ戦時体制がはじまったなということである。
 日米中はつねに三角関係のなかにある。いいかえれば、どんなに好き嫌いがあっても、地理的にみて、日本の隣国がアメリカと中国だという事実は変えられない。日本は中国に攻め入り、アメリカとも戦争をしてきた。戦後がよき戦後といえたのは、日本が中国に攻め入ることも、アメリカと戦争することもなかったからである。すると、いま想定されているのは、中国が日本に攻め入り、アメリカと戦争することなのだろうか。できるなら、そういう事態は避けたいものである。
 日米の軍事態勢強化を前提とする特定秘密保護法の成立によって、米中冷戦はさらに本格化し、日中の緊張関係はより強まろうとしている。いま日本と中国とのパイプは切れかかっている。しかし、くり返すけれども、日本にとって中国は永遠の隣国なのだ。いったんこじれてしまうと、隣人関係ほどむずかしいものはないけれど、国との関係でも同じことがいえる。それでも、どこかで修復をはからねばならないだろう。
 日本と中国のパイプが途絶えようとしているいま、特定秘密保護法と日本版NSCなるもので、アメリカのCIAや軍を経由して、中国の情報ははいってくるかもしれない。しかし、それをうのみにするのは危険である(日中の対立をあおりながら、アメリカが漁夫の利を得ようとする可能性もある)。日米中の戦争を回避するために、いま日本はどういう平和構想を練るべきなのか。ほんとうに問われているのは、そのことなのだろう。
 日米中の関係を日米の軍事強化のみによって固めようとする方向は、新冷戦の思考法である。パシフィストといわれるかもしれないが、中国とはもう戦争したくないものだ(中国共産党は嫌いだが)。アジアの平和を保つ工夫を、うまい具合に提案してくれる人はいないものだろうか。不安はますます高まっている。

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