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80年ぶりの世界恐慌か [時事]

先週の9月15日、アメリカ4位の証券会社リーマンブラザーズが破産申請し、3位のメリルリンチがバンク・オブ・アメリカに吸収されるという驚くべきできごとがあり、加えて最大手保険会社のAIGまでが経営危機におちいり、400億ドルという巨額の公的資金が投入されるというニュースが世界中をかけめぐった。
ニューヨーク株式市場は500ドルという史上4番目の暴落となり、その影響がヨーロッパ市場、アジア市場、東京市場にもおよんだ。
アメリカ政府の素早い対応によって、いちおう危機は脱したかのように思えるが、この先どうなるか不安はつきない。
考えてみれば、あやしい兆候はずいぶん前からあった。
9月上旬に政府系の住宅金融会社、ファニーメイとフレディマックが破綻し、多額の公的資金がつぎこまれることになったのも、そのひとつ。
春先には投資銀行のベアスターンズが破綻し、アメリカ政府の管理下におかれた。
アメリカ経済は1年以上前からおかしくなっていたのだ。
「リベラル21」に半沢健市氏が書いているところによれば、ロサンゼルスの住宅価格指数は2000年を100とすれば、06年が374、そして08年4月が202になったという。
つまりアメリカの住宅バブルは06年がピークで、それから2年間に45%下落した計算になる。
1990年代に日本のバブルが崩壊したのと同じ現象がアメリカで発生したのだ。
おそらく住宅価格の下落はこれで収まるわけもなく、さらに半分まで落ちこんでようやくストップすればいいというところではないだろうか。
しかし、日本のバブル崩壊がほぼ国内問題として決着したのに対して、アメリカの場合は世界中に問題をばらまいている。
その原因は、アメリカが住宅購入貸付資金の保証を、債券(デリバティブ)のかたちで世界中に分散したことにある。
いわゆるサブプライム問題である(だがサブプライムだけで収まりそうにない)。

現在のアメリカの金融は、日本や中国、中東などのマネーで支えられているといってもよいだろう。
そのためアメリカがおかしくなれば、ことはアメリカ国内にとどまらず、世界中にその影響が広がるのだ。
具体的な数字は覚えていないが、アメリカのバブルの規模は現時点で、90年代の日本のほぼ2倍の規模に膨らんでいるといわれる。
だが、それだけではとても収まらず、その規模は最終的には10倍くらいに膨らむのではないだろうか。
現時点でアメリカの銀行は11行が経営危機におちいっているが、潜在的には100行以上が問題をかかえているとのうわさも飛び交っている。
5社あったアメリカの大手証券会社はすでに2社になってしまった。
80年ぶりの世界恐慌がやってきそうだという見通しも、あながち嘘ではなさそうだ。

今回の危機は80年代以来の「新自由主義」が完全に破綻したことをも意味している。
考えてみれば、新自由主義は規制緩和と市場原理主義を唱えるいっぽうで、バブル経済(学者風にいえば資本主義の活性化)を生み出すイデオロギーとして機能していた。
市場の規制をはずして、どんどん競争を高め、経済を刺激し、それによって手元にカネがない人でも、好きなようにモノを買えるようにするのが、新自由主義のイデオロギーだった。
その結果、いつか化けの皮がはがれて、バブルがはじけ、経済が破綻する。
これからアメリカでは、さらに株価が下がりつづけ、政府の公的資金が投入されて銀行と投資会社、証券会社が再編されるかたわら、膨大な失業者が生まれ、不況の影響は不動産・建設業界にとどまらず、一般の製造業や流通業にも広がっていくだろう。
これと同じ現象がアジアでもヨーロッパでも起きることはまず間違いない。
コントロールを失った資本主義をふたたび制御できるかどうかが問われている。
政府や官僚が当てにならないことは、食の安全をめぐる最近の騒動をみても明らかだ。
社会のなかに資本主義の暴走を防ぐ制御装置をいかにして組み込んでいくかが、これからの大きな課題だろう。
資本主義の制限なき開放を加速する、構造改革や規制緩和といったスローガンに、これ以上だまされるわけにはいかない。
世界恐慌の危機はまだ収まっていないのだ。


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