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鷲尾賢也さんのこと(5月28日の偲ぶ会で) [人]

 鷲尾さんが亡くなったのを知ったのは、アフリカのタンザニアにいるときでした。キリマンジャロのふもとでのサファリツアーを終えて、アルーシャのホテルに戻ったときのことです。wifiのつながる場所で、久しぶりにipadを開いたら、急死の知らせがはいっていて、気が動転しました。鷲尾さんとはアフリカに行く10日ほど前に、電話で長々と話したばかりでした。
 葬儀はその翌日だったので、間に合わず、参列できませんでした。ですから、ご遺影にせよ、お目にかかるのは久しぶりのことです。
 旅行から日本に帰ってきたとき、何か不思議な感覚に襲われました。それは、鷲尾さんが亡くなって、日本が変わっちゃったなという感覚です。
 これまで海外旅行から戻ってきて、まずそんな気持ちになることはありませんでした。どちらかというと、その反対で、日本はぜんぜん変わらないなと思うのがふつうでした。新聞を読んでも、テレビを見ても、2週間前とほとんど変わらない。安倍さんは相変わらずぺらぺらとしゃべっている。
 ところが、今回はショックが大きかったのです。日本が変わっちゃったなという思いは、ちょっと大げさかもしれません。でも、なぜか、そんなふうに感じたのでした。
 わたしにとって鷲尾さんは、近寄りがたい人というより、安心して気楽に話ができる人でした。本のこと、書店のこと、著者のこと、業界のこと、鷲尾さんはみんな知っていました。世の中の動きにも敏感に反応し、憲法改正の動きや、原発再稼働の策動にも怒っていました。デモや国会前の集会にも顔を出していたようです。
 ムダの会ができて、しばらくたってからですから、鷲尾さんとはもう20年来のつきあいになります。わたしはこの会に出たり出なかったりという状況でしたが、鷲尾さんはこのムダの会をこれまでずっと引っぱってこられました。
 わたしも出版の世界の端っこのほうで、わけのわからぬまま、長いあいだ仕事をしてきましたが、鷲尾さんはそんなわたしを、暖かく見守ってくれる大きな灯台のような存在でした。
 冥福は祈りません。遠くに行かないでください。それよりも、そばにいて、いっしょに仕事をつづけましょう。きょうはそんな思いで、この会にやってきました。

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