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イタリア夏の旅日記(2) [旅]

8月2日(水)〜8月4日(金)
 ミワの夏休みは8月5日の土曜日から20日の日曜日までの2週間だ。それまでは仕事に行かなければならない。休みにはいるまでの3日間、われわれ夫婦はここシエナ郊外の家で、のんびりすごした。この場所は、世界遺産になっているシエナの旧市街から鉄道駅をはさんで、向かい側の丘の上にある。旧市街からはバスで10分ほどの距離だ。
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 ベランダからの風景。何といっても、空が青く広いのがトスカーナの恵みだ。一戸建ての家はお金持ちで、ふつうの人の家は集合住宅と相場が決まっている。屋根の色と壁の色は、レンガ色(シエナ色といってもいいだろう)で統一されている。窓はシャッターで、上にもあがるが、押せば開くようになっている。地域住民の車なら路上に駐車できる。
 2日の朝は6時半に目が覚めた。7時半に車で仕事に行く娘を見送る。仕事場はモンテバルキにあるプラダ本社で、通勤に1時間ほどかかる。9時ごろ、この家の亭主マテオが病院の夜勤明けで戻ってくる。久しぶりの再会で、たがいの無事を喜びあった。
 これはお隣の写真。1階はガレージ。道路際には植え込みがあって、ベランダにはテーブルが置かれている。写真には写っていないが、この先には教会がある。
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 つれあいは洗濯をはじめる。そのかんに、ふだんはあまり使わない炊飯器を取り出し、日本から持ってきた米をとぎ、炊飯の予約をした。
 高校生のユウキは昼にならないと起きてこない。イタリアの学校は6月半ばから9月半ばまでと夏休みが長い。部屋に閉じこもってゲームをする至福の日々がつづく。
 ユウキが起きてから、うどんを茹でて、冷やしうどんをつくった。ユウキは温かいのしか食べない。なかに玉子を割って入れたら、きらいらしく、渋々食べた。好き嫌いが激しいのは小さいときからだ。
 午後1時半、マテオが再び病院の仕事に出かける。シエナも暑いけれど、船橋に比べると、ずっと涼しく感じられる。標高が300メートルほどあるせいかもしれない。それだけではない。湿度が低いのだ。日本の蒸し暑さから逃れられるだけでもありがたい。
 昼過ぎになると、時差ぼけのせいで(それだけではないかもしれないが)、急に眠気が襲ってきて、うとうとしてしまう。
夕方7時半ごろから食事を始める。ミワが仕事から戻ったのは8時ごろだ。ふたりとも毎日、忙しい。
 夜は時差ボケのせいで、あまりよく眠れない。翌日もふたりは仕事に行き、われわれは帰路に立ち寄ることにしているコモ湖とミラノの旅行計画を練る。ユウキは昼になって起きてくる。きのうのうどんは評判が悪かったので、きょうはパスタをゆでる。
 ユウキは日本語が話せない。
iPadで日本の孫たち(かれにとっては年下のいとこたち)の写真を見せながら、英語で話しかける。
「学校はおもしろい? どんな科目が好き? ガールフレンドはできたの?」などと、聞いてみる。
 学校はいやではないらしい。哲学が好きというのはびっくり。友達はいるけど、ガールフレンドはいないらしい。恥ずかしそうにノーノーとくり返して笑う。
 じいさん、ばあさんにとっては、ユウキと会話ができるのが、何よりも楽しい。イタリアにやってきた甲斐があるというものだ。
 また昼寝をする。起きてから、退屈なので、テレビをつける。ワイドショーのような番組をやっている。ストーカーによる殺人事件、それからミラノの森の老女殺害遺棄事件などが話題になっているようだ。イタリア語なので、詳細はよくわからない。同じような事件が起こっているのは日本もイタリアも変わらないようだ。
 こちらでは、よほど大きなできごとでもないかぎり、日本のニュースは流れない。精神衛生上は、そのほうがいいかもしれない。
 晩は残り物のハンバーグと麻婆茄子を用意する。マテオは7時ごろ、ミワは8時ごろ、仕事から戻ってくる。みんなでワインを開けながら食事をする。
 その夜もよく眠れなかった。朝、かなり激しい雨が降った。
 ミワとマテオが仕事にでかけたあと、われわれはフェイスタイムを開き、船橋に住む次女や孫たちとテレビ会話をする。便利な時代になったものだ。
 家じゅうの掃除をし、洗濯もした。昼、ユウキは自分でパスタを調理し、われわれは残り物を食べた。午後は少し昼寝。このパターンがつづいている。時差ぼけがなかなか戻らない。夕方、マテオの両親が挨拶にやってきてくれた。二人とも5年前とさほど変わらず、安心する。早口のイタリア語はわからないが、その端々からお互いコロナ禍を生き延びた喜びが伝わってきた。夜は、生姜焼きとスペイン風オムレツを作る。マテオは休暇前の最後の夜勤で病院に。8時過ぎ、ミワが戻ってくる。明日からはようやく2週間の夏休みだ。

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