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サトゥルニアの温泉に──イタリア夏の旅日記(5) [旅]

8月7日(月)
 朝、7時半ごろ、シエナの家を出て、ミワの車に乗せてもらい、マテオ君の運転でグロッセートに向かった。海に近い平野の町だ。風光明媚なマレンマの湿地帯をかかえ、かつてはマラリアの脅威にさらされたこともある。シエナが長く治め、のちメディチ家の支配下にはいった。旧市街はメディチ家の堡塁に囲まれている。
 マテオはそこの病院で8時半から手術の仕事がある。グロッセートまでついてきたのはわけがある。グロッセートから車で1時間ほど山にはいったところにサトゥルニアという場所があり、そこに温泉があると聞いたからだ。
 ミワはとても2時間運転する自信はないという。そこで、たまたまグロッセートで仕事のあるマテオに便乗し、それからミワに1時間ほど走ってもらって、温泉場に行くという計画を思いついた。
 計画の主はもちろんつれあいである。そもそもはNHK・BSの放送で「ヨーロッパ秘湯ジャーニー」という番組をやっているのを見たのがきっかけだった。イギリスの若いカップルがキャンプワゴンで50日間にわたってヨーロッパ各地の秘湯をめぐるのだが、イタリアで訪れたのがサトゥルニアの温泉だ。調べたところ、サトゥルニアはトスカーナ州にある。シエナからそんなに遠くないのではないか、とカンをはたらかせたのが、つれあいのすごいところである。
 そこで、本日、念願のサトゥルニア温泉行となった。
 グロッセートまでは農村地帯がつづく。ここではコメも栽培されている。道は途中で片側1車線通行になる。地権者がやっと地所の引き渡しに同意したので、2車線化の工事がはじまっているものの、その進展具合は遅々としているという。のろのろと走る。
 丘の中腹にちいさな村をみつけた。
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 糸杉の光景も広がっている。
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 オリーブ畑とぶどう畑もおなじみだ。
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 小麦の収穫はすでに終わって、大きな麦わらロールがあちこちつくられている。
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 グロッセートの病院前でマテオが降り、ミワと運転を交替。手術が終わったあと、午後1時ごろにまた迎えにくることになっている。
 山道を登り降りし、10時ごろ念願のサトゥルニア温泉に到着した。駐車場に車をとめ、水着に着替えて、5分ほど歩く。青空のもと、石灰棚に囲まれた野趣あふれる温泉場が広がっていた。
 イタリアの温泉は日本とは少しちがう。水着をつけてはいるから、温水プール感覚に近いといえるかもしれない。
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 この日も大勢の人が訪れていた。地元の人が多そうだ。
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 われわれはそろりそろりと石灰棚のほうに近づいていく。温泉水は滝のように上から流れてくる。足下は小さな石が敷き詰められているので、すべる心配はないが、水の勢いが強いので、足をとられそうになる。転びそうになったが、見かねたのか、まわりの人が助けてくれた。みんな親切だ。
 日本人の観光客はいない。いや、そうでもないか。情けない顔をしたみすぼらしいじいさんがひとり写真に写っていた。水量は豊富、熱くなくて、いいお湯だ。少し硫黄の臭いもする。知り合いどうし、ゆっくりおしゃべりをしながら、ひがなここで過ごすのだろう。無料というのがありがたい。
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 1月に胆石の手術をしたミワは入り口のバールで待っていた。あまり待たせるのは申し訳ないので、1時間ほどで引き揚げることにする。それにグロッセートでマテオをピックアップしなければならない。
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 午後1時過ぎ、グロッセートの病院前に無事到着。
 食事をしようというので、マテオが城壁前のリストランテ(レストラン)を探してくれて、お相伴にあずかる。
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 つれあいはイカスミのリゾット、ぼくはスパゲティ・ボンゴレを頼み、みんなでプロセッコ(スパークリングワイン)をあけてしまった。ふたりでフリットも食った。日本ではこんなことはまずしない。ヴァカンスのお祝いである。
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 少し酔いをさましてからシエナの家に戻る。
 途中の麦畑の光景。
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 シエナの町が見えてきた。
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 夕方5時ごろ帰宅。ユウキは「ぼく行かない」といって、きょうも家で待っていた。やはり高校生だ。

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