秋の日に

日曜日の朝「サンデー・モーニング」を見てから、あまりに天気がいいのでヨーコさんとどこかにでかけようかという話になった。
錦糸町で映画を見るのもいいけれど、「ALWAYS 続三丁目の夕日」はいまひとつ乗り気がせず、ぼくの好みはニコール・キッドマンの「インベージョン」かミラ・ジョヴォヴィッチ（ヨヴォヴィッチ）の「バイオハザード」なのだが、どちらもくたびれそうなので、けっきょくやめにした。
それじゃ東京あたりでもふらっと行くかということになり、日本橋の三越あたりから東京駅の新丸ビルまで歩いてみた。
このあたりはいつみてもどこか工事をしている。
三井本館の隣に三井タワーができていて、上にマンダリン・ホテルがはいっているので、ちょっと見学してみる。
37階から38階に上る階段からは、真下に日銀、少し先の皇居、それから新宿のビル群が手にとるように見渡せる。
そのあと三井美術館で安宅コレクションを見るつもりだったのだが、一度どこかで見たような気がして中止。
日本銀行の地下金庫が一般公開になっているはずとヨーコさんがいうので、入り口まで行って聞いてみると、予約が必要というので、これもだめ。
いつも出たとこ勝負なので、準備不足はいなめない。
貨幣博物館なら自由に見られますよと係の人に言われて、日銀の前にある建物にはいった。
これが当たりだった（もちろん無料）。
和同開珎から大判、小判、第一国立銀行紙幣、その他、これまで気になっていた貨幣や紙幣の実物を見ることができた。
ここの博物館を紹介するだけで、短い貨幣史が書けそうな気がする。
そろそろおなかがすいてきた。
ヨーコさんが鰻が食べたいというので宮川に行くことにした。
後ろから見ると、三越の屋上は鐘楼のようになっていて、その上に旗がひるがえっている。
やはり古い建物はどことなく風情があって楽しい。
三井本館の横にそびえる三井タワーも一枚写真に収めておく。
宮川の鰻重は少し値段が張ったが、さすがにうまかった。
日本橋の上は高速道路になっていて、やはり高度成長時代の無分別が、風景を台無しにしていると思わざるをえない。
東京駅の周辺も大きなビルができて、すっかりさまがわりした。
新丸ビルはやはり混んでいた。
３階のアトリウムでミニ・コンサートをやっていたので、平松悠歩さんのピアノで、ノクターンや「月の光」、トロイメライなどを聞く。
喧噪のなかなのに、一生懸命、ピアノを弾いている姿に感服する。
ソファに座ったヨーコさんがむずかしそうな顔をして目をつぶったまま聴き入っている。
よくみると、どうやら昼間のビールがきいて、うとうとしているらしい。
このところずっと論文を書いていたので、疲れているのだ。
曲が終わるたびに周りから拍手が起こると、自分もあわてて拍手をするのがおかしい。
７階から皇居の方を眺めると、銀杏並木がそろそろ色づき始めている。
そろそろ休日の散歩も終わり。
喫茶店がどこも混んでいたので、地下のゴディバで飲み物を買い、帰りの電車をカフェ代わりにさせてもらった。
きょう歩いてみて気づいたのは、東京駅周辺に大きなビルが立ち並んだこと、それにわれわれも含め、年配の夫婦づれがよく出歩いていることだ（もちろん若いカップルも多い）。
東京は、ビジネス一筋の街ではなく遊べる街に変わりつつある。

こんなあれこれを並べていたら「また脳天気なブログを書いてたんでしょ。［民主党の］小沢さんがやめたわよ」と声がかかった。
連立政権協議が立ち消えになって、これでいよいよ総選挙かと思っていたらびっくりである。
このところ政界もメディアも休日なしの状態がつづいている。