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サブプライム問題とは何か [時事]

きのう(11月12日)の東京株式市場は、日経平均株価が一時1万5000円を割り込み、年初来の安値を記録した(きょうはさらに安値を更新)。
アメリカのサブプライム問題と円高ドル安の影響で、株安が加速したといわれる。
株価について一喜一憂する必要はないが、だいぶ前から問題になっているサブプライム問題というのは意外と深刻なのかもしれないと思うようになった。
「リベラル21」というブログに半澤健一氏が書いているところによると、アメリカの不動産バブルは2年ほど前から大問題になりはじめていた。
ニューヨークの郊外ロングアイランドの住宅に2000年まで住んでいた日本人商社マンが05年にアメリカを再訪したときの話だ。
彼は10年間、借家暮らしだったが、その間、住宅価格はほとんど変わらなかった。
けっきょく家を買うことはなかったが、2000年に家主の韓国人から家を買わないかと話を持ちかけられたときの金額は30万ドルだった。
ところが、その家が05年に80万ドルで売れたと元家主から商社マンは聞いてびっくりする。
つまり5年間に住宅価格が2.6倍にはねあがっていたのである。
80年代後半の日本の土地バブルをほうふつとさせるような話である。

アメリカでは、そのバブルが2年ほど前から崩れ始めた。
もうひとつ深刻なのが、アメリカ独特のローン方式である。
「ホーム・エクイティ・ローン」というのがあるそうだ。
半澤氏は日本経済新聞のコラムを参照しながら、こう書いている。
〈住宅の資産価格から住宅ローン残高を引いた分を担保にする「ホーム・エクイティ・ローン」では、たとえば30万ドル(3600万円)の住宅ローンがあって も住宅価格が40万ドルなら10万ドルの借り入れができる。つまり住宅借入資金の一部が消費にまわる。住宅価格の上昇が生活資金になっている〉
これは日本の企業がバブル時代に評価の上がった土地を担保に銀行からローンを借り入れて、無駄な投資に走ったのと同じ現象である。
バブルがはじけて、不動産評価が暴落すると、けっきょく払うにも払えない借金だけが残る。
アメリカのエコノミスト、スティーヴン・ローチは「住宅バブル崩壊後の余波は株式バブルのときより心配だ。連邦準備制度理事会(FRB)は、高まる危険に対してあまりに無防備だ」と早くから警告を発していたという。
サブプライム問題が底なしだというのは、それが低所得者向けの住宅ローンのこげつきにとどまらず、住宅バブルの崩壊に伴う数限りない借金地獄を背後に控えているからだ。
伝えられるところでは、メリルリンチ社をはじめ欧米13社の金融関係会社は500億ドル(約6兆円)の評価損を抱え、日本でも野村證券がサブプライム関係で730億円の損失を計上したという。
アメリカ経済の先行きへの不安が高まり、ドル安が進んで、日本の輸出企業の業績が今後悪化するのではないかと心配されたことから、きのうの東京市場は株が急落した。
ただ中国やインドの新興国経済、あるいはIT部門が相変わらず堅調なため、いまのところ世界市場全体は安定した成長がつづくと予想されている。
けさの日経の社説はこう書いている。
〈日本では参院選後、経済改革の時計が止まるどころか、逆回りしている印象さえ受ける。国と地方を合わせた政府の長期債務がGDPの1.5倍に達するなかで、成長の見取り図が示されないと、外国勢は危惧している。企業がせっかく稼いでも、将来の増税によってもうけが手元に残らなくなるのではないか、という心配といってもよい。
ここ数年のように、世界経済が同時に上向いていた局面なら、日本もその恩恵にあずかれた。しかし今は、その前提が揺らいでいる。自前の成長の姿を描けなければ、日本への投資妙味は乏しい。ふらつく株価はそう告げているようだ〉
これはいかにも日本経済新聞らしい見方である。
たしかに財政再建はそのうち何とかなるだろうとしか思っていない日本政府は、明治の時代より無責任で、とても真剣に将来の経済見通しを考えているとは思えない。
しかし、ぼくなどは人が悪いから、つい今回の株式低落もアメリカの陰謀ではないかと疑ってしまう。
アメリカは潤沢なジャパンマネーをうまく集めて、それをイラク戦争やサブプライムローンにつぎ込み、あげくのはて失敗したつけをまた日本に押し付けているのではないかと考えてしまうのだ。
そして経済改革とやらが、また国民にがまんを強いて、さらにアメリカにとって都合のいい体制をつくる結果にならなければいいが、と懸念するのである。


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