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小沢一郎インタビュー [時事]


衆議院と参議院の過半数第1党が異なるというねじれ現象のなかで、国会をどう運営していけばよいのか。
10月30日と11月2日に福田首相と民主党小沢代表とのあいだで会談がもたれ、連立政権構想が出されたものの、民主党内の反対で立ち消えになったのは周知の通り。
そのあと、4日に小沢代表が辞意を表明し、6日に今度はそれを撤回するなど、このところ政局はめまぐるしく動いた。
最近の政局はさっぱりわからない。
初めて連立政権の話を聞いたときは、冗談だろうと思ったものだ。
予期しない進展だった。
民主党鳩山幹事長が「大連立は大政翼賛会的」と批判しているが、この発言が民主党内の雰囲気を物語っている。
しかし、小沢自身は本気だった。
けさ(16日)の朝日新聞に掲載されていた小沢インタビューを読んでみて、その感を強くした。
2日の夕方に、ひょっとしたら大連立政権かというニュースが流れたとき、ぼくは小沢が首相になるなら大連立政権が成立するかもしれないが、そうでなければ解散に突っ走るしかないと思った。
昔の社会党村山政権のことを思い浮かべていた。
自分を首相にという話がないなら、小沢はまさか連立に乗らないだろう。
それで連立に乗るのは、よほどのお人好しだ、とみていた。
ところが、そういう話は最初からなかったようだ。
「民主党が首相をとる可能性はあったか」と聞かれて、小沢はこう答えている。
〈それはないさ。彼[福田]は首相でいたいんだから。首相が連立の話を出してきたときに「おかしい。私は参院で首相指名を受けた。本当は首相指名の前に話をしなければならない」と言ったんだ〉
考えてみたら、これはその通りで、衆院で自民党が過半数割れしていた村山政権のときとはちがい、小沢政権が成立するはずがなかった。
それでは、なぜ小沢は連立構想に乗ったのか。
〈首相は連立なら特措法さえも譲って構わない、憲法解釈も百八十度転換しても構わないと、そこまで言い切った。農業政策、年金、子育て、高速道路無料化など、われわれの目玉政策ものむかもしれない。画期的なものが民主党の主張で実現できれば、選挙に絶対有利だ。だが、みんなどうせ実現できないと思っていて民主党議員でさえそんな気がある。それは権力を知らないからだ。僕は権力をとれば簡単にできることを知っている〉
特措法の解釈は微妙である。
福田が連立を持ちかけたのは特措法を通すためで、特措法を取り下げてもよいという話ではないはずだ。
小沢はむしろ自民党が、これまでの憲法解釈を百八十度変えて、自衛隊派遣に関する恒久法に乗ったととらえている。
それから農業政策、年金、子育て、高速道路無料化でも民主党の案をそっくり認めると解釈している。
このへんの理解ははたして、どうなのか。
「僕は権力をとれば簡単に[政策が実現]できることを知っている」というのも、少し安直なのではないか。
しかし、結果的に連立は実現しなかった。
小沢はこう話している。
〈政治判断は今でも正しいと思っている。選挙で勝てる最大の方策だ。だが、みんながそれを望まないというんだから、その方法は捨てる以外にない。残念だけど。もう選挙で勝つ以外ないさ。特別なことは何もない〉
これによると、連立政権をつくって、民主党の政策を実現したうえで、どこかの時点で自民党とぶつかって、選挙にはいるというのが小沢の戦略だったようだ。
しかし、連立が見送りとなった以上は、まっしぐらに選挙に突入するしかない。

インタビューにはこういう箇所もある。
〈(安全保障には)国民は関心がない。それは政治家や政党の責任、見識できちっとした政治をやればいい。国民は生活の話だ。国民生活を、どちらの政党がちゃんとみてくれるのか。生活上の心配はみんな大変だ。選挙の時は、どんな時でもちゃんと生活を安定させていきますよと訴えるのが一番だ。生活できるようにするのが政治じゃないかと、国民はみんな思っている〉
選挙では身近な生活のことだけを訴えて、安全保障のことは政治家や政党が責任をもって決めればいい、というのはぽろりと出た本音のようだ。
その安全保障にからむ国際治安支援部隊(ISAF)について、小沢はこう述べている。
〈何にでも参加すると言っているんじゃない。その時の政府が吟味して、どの分野にどれだけ参加するかを決める。国連活動に参加することはマニフェストで国民に約束したことだから、これから論議する話ではない。何でそんな単純な議論がわからないのか不思議でしょうがない〉
自衛隊のISAF派遣はインド洋での給油より、はるかに危険と犠牲を伴う可能性があるという各方面の批判を受けて、多少はトーンダウンしたようにみえる。
日米関係について小沢はこう述べている。
〈何の心配もない。ブッシュ大統領なんて米国民に支持されていないんだから、何で気兼ねするんだ。いま米国内でもブッシュ大統領の政策は批判の的だ〉
これはちょうど訪米中の福田首相にとってもきついひと言になっただろう。
アメリカの言いなりになるのではなく、アメリカが間違っているときは、はっきりNOという姿勢を打ち出したのは評価できる。
小沢は自衛隊海外派兵について、その場その場ではない恒久法をつくるべきだと主張している。
憲法と恒久法との関係はどうなのか。
〈憲法に逐条として出ていない部分について、自衛隊派遣のきちんとした原則を明記して憲法を補完する基本法が必要だ。そうしないと憲法を改正するまで憲法問題が続いちゃう。選挙で多数取れば、基本法を定めたほうがいい〉
つまり、基本法をつくれば憲法を改正する必要はないということらしい。
このインタビューを読むかぎり、これから日本の政党は、昔の自民党対社会党というイメージでとらえないほうがよさそうだ。
昭和初期の政友会と民政党というのは古すぎるにしても、アメリカの民主党と共和党に近いところまで、日本の政党も変わりつつあるように思える。
それがはたして正しかったかどうかは、もう少し先まで見なくてはならない。


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