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道教おそるべし──台湾の旅(15) [旅]

3月10日、花蓮からタロコ(太魯閣)号に乗って約2時間、午後2時25分に台北に着きました。残念ながら、きょうも雨。駅前にツアー用のバスが待っており、さっそく乗りこみます。バスがまず向かったのは龍山寺。通りすぎた総統府は、かつての台湾総督府、当時の建物が改修されて利用されているそうです。
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春節(お正月)の影響がまだ残っているのでしょうか、あちこちに派手なランタンがつるされ、いくつもおめでたそうな人形が、照明を浴びて、これまたきんきらりんに飾りたてられています。まんなかにうさぎがいるのをみて、ことしはうさぎ年だったんだと、あらためて知った次第です。
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ここには観音菩薩を中心に、孔子、関羽、媽祖など100くらいの神さまが、ところせましと祭られているようです。仏教でも儒教でもなく、れっきとした道教寺院です。平日なのに参拝客が押し合いへし合いで、あたりには線香の煙がもうもうとたちこめています。
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台湾のお寺は日本とちがって、やたらはでばでしく、安置されている仏さま(いや神さま)はいずれも金ぴかで、最初は何と品がないのだろうと思うほどでした。しかし、そう思うのは日本人の美意識のなせる業かもしれません。日本でも伝来当初、仏さまは金色にかがやいていたといいますからね。
逆に気づいたのは、台湾では民衆の日常に道教が根づいているということでした。われわれ日本人にとっては、神社仏閣との付き合いは、お正月やお盆、それに何かの祈願やお葬式くらいしかありません。ところが台湾では、どうやら日常の生活に道教がしっかりとはいりこんでいるような気配があります。
台湾で道教にはじめて出会ったのは日月潭の文武廟でした。ガイドの劉さんに教えてもらって、まずおみくじのようなものを引きました。
そこには竹べらに番号が書いてあります。次にポエとよばれる木片(表が陽、裏が陰)をふたつ転がして、陰と陽の組み合わせになったら、そのおみくじが神さまの見立ててくれた運勢ということになります。
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ポエが陰と陰、あるいは陽と陽なら、もう一度、おみくじを引きなおし、またポエを転がして、自分の正しい運勢が出るまでくり返します。
正しいおみくじがでたら、そのナンバーにあたる札をもらいます。日本でもおみくじに大吉や小吉とかあって、そこに恋愛成就とか金運さっぱりとか書いてありますね。あれと同じです。
ひょっとしたら日本の神社のおみくじは、陰陽道というか、それよりももともと道教の影響を受けているのかもしれません。
紙銭を焼くという風習もあります。これには亡くなった人が、死後、豊かで平穏に暮らすことができるようにという思いがこめられています。
お供え物をして、それを家に持って帰って食べることもふつうにおこなわれています。先祖と食をともにするわけです。
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お札に合格祈願とか交通安全とか書いて寺に収めるのも、日本と同じですね。
こうみると道教のお寺は日本の神社と似ているようですが、ちがうのはお寺と同じように神さま(観音さまも含む)の像がやたらと置かれ、その前で線香が立ちこめて、人びとが熱心に祈りをささげていることでしょうか。
どうも道教というのは、日本の神社と寺をあわせた総合祈祷センターといったおもむきがあります。
ちょっと俗っぽいかなと思うかもしれません。しかし、最近、三浦国雄先生の『不老不死という欲望』という本を読んで、道教の背後に中国の伝統を踏まえたおそるべき哲学があることを、知りました。
道教は一種の生命科学だと三浦先生は言います。
この話は長くなりそうなので、つづきはまたこんどにしましょう。

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