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イスタンブールの地下めぐり──15日間エジプト・トルコツアー(22) [旅]

12日目 2012年6月24日(日)

この日の午前中は自由行動になっていて、多くの人はボスポラス海峡ツアーに出かけました。海の側からイスタンブールを眺めてみたいという気持ちはよくわかります。
しかし、われわれ夫婦は、あまり人の行かないところを狙って、空いている時間に、イスタンブールの地下めぐりにでかけました。
選んだ場所はスルタンアフメット地区にある地下宮殿と考古学博物館です。
8時半にアクギュン・ホテルを出発。
すぐそばには町を囲む城壁があります。コンスタンティノープル時代の城壁でしょうか。
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この城壁に沿って、少し歩き、交差点を左折して、パザルテッケ駅から路面電車(トラム)に乗ります。交通渋滞の激しいイスタンブールでは、中心街に出るにはタクシーよりも路面電車が便利です。値段もひとり2リラ(当時のレートで約90円)ですみます。
10分少々でスルタンアフメット駅に到着。
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ここから地下宮殿へ。入り口はちょっとわかりにくかったけれど、何とか見つけて地下にもぐりこむと、そこには満々と水をたたえた地下宮殿が広がっていました。
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地下宮殿といっても、そう見えるだけで、ほんとうは貯水池です。最初につくられたのは4世紀から6世紀にかけて、といわれています。ビザンティン時代ですね。
横向きになっているからわかりにくいかもしれませんが、ヘビの髪を波打たせるメドゥーサの首が見えるでしょうか。このうえに天井を支える列柱の1本が立っています。なぜこんなところにメドゥーサがあるのか、よくわかりません。ヘビを封じるまじないだったのでしょうか。
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解説によると、円柱の高さは9メートル、4メートル間隔で336本立っていて、アーチを支えているとか。広さは9800平方メートルで、10万トンの水が蓄えられています。東京ドームのグラウンドをこぶりにした大きさ。歩くとその広さが伝わってきます。よくこんなものを1500年以上前につくったものです。オスマン時代には、トプカプ宮殿にこの水が引かれていたようです。
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外に出ると、急に日差しがまぶしく感じられました。路面電車沿いに歩くと、ケバブの店や絨毯屋さんなどが立ち並んでいます。
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次に訪れたのが、トプカプ宮殿の北側にある考古学博物館です。ここにはオスマン帝国時代に発掘されたものの一部が収められています。
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これは番人の鬼でしょうか。口に出しては説明しにくいですが、ひょうきんなので、カメラに収めてみました。
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この博物館で有名なのは、何といってもアレクサンダーの石棺です。レバノンはシドンにあるネクロポリス(巨大な王族墓地)で発見されたものです。レバノンはかつてオスマン帝国領でした。
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アレクサンダー(アレクサンドロス)の石棺とよばれるのは、別にここにアレクサンダーが葬られているからではありません。イッソスの戦いでダリウス3世を破ったアレクサンダーの姿が石棺に描かれている、とされているからです。そういえば、これと同じようなモザイク画がありますね。しかし、この左の人物をはたしてアレクサンダーと断定できるのかどうか、疑問の余地はあります。
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勇壮で華麗な石棺には圧倒されます。こういう石棺に眠っていたのは、いったいどういう人物だったのでしょう。
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もうひとつの石棺には一転して、嘆き悲しむ女たちの姿がとらえられています。これだけ女性たちを泣かせるのですから、ここに収められていたのは、ほれぼれするような美少年か、見目麗しい王女だったにちがいありません。
いずれにしても、紀元前3世紀ごろにつくられたという、数多くの石棺の壮麗さには目をみはりました。日本ではこのころ弥生時代がはじまったばかりです。
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石棺にはそれぞれ物語が刻まれているようです。ファエドラとヒッポリトスの道ならぬ恋を描いた石棺もあるといいますが、どれがそうなのかは確認できませんでした。
この博物館の2階にはトロイの発掘品や、フリギアのミダス王の遺跡から出たものも並べられています。いくら時間があっても足りません。ふたたび1階に戻って古代のアナトリア神殿やマグネシア神殿のリリーフを見ます。このあたりはギリシャの植民地だったところです。
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上のレリーフもおもしろいですね。天使が鷲とことばを交わしながら、鷲に何かを渡しているように見えます。
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しかし、残念ながら、このあたりで時間切れ。待ち合わせ場所になっているシルケジ駅に向かいました。このあいだ食事をしたレストランの入り口に、オリエント・エキスプレスという銘板を見つけました。
旅行客の目から見ると、イスタンブールは、過去と現在をつないで、いまにも何かがはじまりそうな楽しい街です。首都ではなくなり、オスマン帝国時代からつづく政治から解放されたのもよかったのかもしれません。

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