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鹿児島、指宿──九州の旅から(2) [旅]

 5月22日、われわれ、おじいちゃん、おばあちゃんは朝8時すぎ、太宰府にある次女一家の家を出発します。
 車は12年ほど前、ぼくが中古で買ったヴィッツで、いまはサイドミラーが自動で開かなくなり、走っていると風を受けてミラーが少し内側に寄ってしまうという代物。車線変更したり追い越したりするときは注意しないと危険です。それから、スタートでエアコンが入っていると、アクセルを踏んでも、よたよたとしか動きません。坂道になると、スピードがめっきり落ちます。それでも調子がいいと、高速は100キロで走れますから、なかなか捨てがたいというオンボロ車です。
 天気はくもりですが、PM2.5の影響とやらで、まわりの山はほとんど霞んでいます。九州でも、こんなにひどいのはめずらしいといいます。
 筑紫野インターからはいって、あまりスピードを出さず、のんびり走ります。九州の人は運転が荒いと聞きましたが、そんなこともないようです。
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 熊本あたりを通過、山と火の国という感を強くします。
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 10時すぎ宮原SA、12時すぎ桜島SAで休憩。どんよりと空がくもり、阿蘇も桜島も見えませんでした。鹿児島の仙巌園に着いたのは、午後1時すぎです。
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 仙巌園は島津家代々の別邸でした。後ろが山なので、当時は舟ではいったといいます。入園してすぐのところに鉄製150ポンド砲が据えつけられています。
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 庭園はよく整備されています。
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 ほんらいなら、ここから築山に見立てた桜島が豪快に見えるはずなのですが、きょうはここ鹿児島にまでPM2.5の影響が出て、その姿はほとんどうかがえません。残念。
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 獅子が逆立ちした燈籠も豪快です。
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 明治になって島津忠義(最後の薩摩藩主)が暮らしたという御殿にも上がらせてもらい、お抹茶をいただきました。
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 仙巌園を出たところには鶴嶺(つるがね)神社があります。島津家歴代の当主と奥方、姫さまなどを祀っています。
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 せっかくだから尚古集成館も見学。ここは慶応元年(1865)につくられた、現存する日本最古の機械工場だったといいます。いまは島津家の事跡を紹介する博物館になっています。
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 運河をはさんだ向かい側に、薩摩切子の工場がありました。
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 これだけを見学しただけで、もう4時になっています。城山には行けそうもありません。そこで、ここで国道226号線できょうの宿、指宿シーサイドホテルに向かいます。
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 到着は5時半。思ったより時間がかかりました。ホテルでは砂蒸し風呂に入ったあと温泉につかります。ここのお湯は塩泉で、あめ色をしています。
 きょうは残念ながら桜島も城山も見ることができませんでした。これはもう一度いらっしゃいという天の指図かもしれません。
 ぼくにとって鹿児島といえば、やはり西郷隆盛です。この悲劇の英雄について、ぼくは『青き淵から 渋沢栄一とその時代』(ホームページ「海神歴史文学館」を参照)のなかで少しばかり書いていますが、幕末から明治にかけての大政治家といってまちがいないと思います。土佐の坂本龍馬は好漢ですが、さほど政治的影響力があったわけでなく、大久保利通は少し陰険で、政治権力にしがみつくところがあります。
 明治維新の際、日本が内戦になるのを救ったのは、西郷隆盛と勝海舟だったといえるでしょうし、それに隠れた大きな存在として徳川慶喜の役割が欠かせなかったと思います。
 西郷は「征韓論」を唱えたとされますが、ぼくに言わせれば、明治政府のなかで唯一の反征韓論者でした。日本が仁川沖の江華島で朝鮮と衝突したさいにも、西郷はこれを「天理に恥ずべき行為」だとののしっています。
 早くから議会政治を唱えたのも西郷でした。アーネスト・サトウに、上下両院からなる「国民議会」が必要だと述べて、かえってサトウをびっくりさせています。
 廃藩置県を断行したのは西郷にほかなりません。いわゆる岩倉使節団が欧米を巡回しているあいだに政府をあずかり、不安な時代を乗り切ることができたのも西郷のおかげだったといえるでしょう。明治政府の大きな業績とされる地租改正や秩禄処分、兵制・学制・司法改革に着手したのも、じつは西郷だったのです。
 西郷が同時代の思想家で、もっとも評価していたのが福沢諭吉だったというのも興味深いですね。
 それではなぜ開明的な気質をもつ西郷が、明治政府を糾弾すべく「西南の役」を起こしたのか。その謎は、ここ鹿児島にまだ眠っているような気がします。
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