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マクベスの城にマクベスはいなかった──スコットランドの旅(11) [旅]

8月12日(日)
 午前10時15分、カロデンを出発します。気温はおそらく15度くらい。薄いジャケットだと寒いくらいです。10時40分コーダー城へ。この城は1930年代まで使われていたとか。城にはちがいありませんが、貴族の館といったほうが正確かもしれません。
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 この城が有名なのは、シェイクスピアの戯曲『マクベス』で、マクベスの居城がコーダー城と書かれているからです。しかし、あくまでもフィクションで、実際にここにマクベスがいたわけではありません。マクベスの子孫がこの城に住んでいたこともありませんでした。
 コーダー城がつくられたのは14世紀になってからで、スコットランド王マクベス(1005-57、在位1040-57)が、この城でダンカン1世を殺害することなどありえないのです。実際には、マクベスはインヴァネスの東40キロ、ここコーダー城からは東に25キロほどのピットガヴェニーでダンカン1世と戦い、破っています。重傷を負ったダンカン1世はそこからほど近いエルギン城で亡くなりました。野望による暗殺ではなかったようです。
 ほんとうのマクベスはなかなかの名君だったようです。しかし、のちの歴史家がマクベスを悪者に仕立てあげ、その居城をコーダー城とし、シェイクスピアもそれを踏襲したことから、マクベスがコーダー城にいたということになってしまったのです。
 でも、われわれ観光客はどうしてもマクベスの城と聞いて、ここにやってきますよね。
 実際のコーダー城は、陰惨さとはまったく無縁の、こぢんまりしたきれいな城でした。跳ね橋がかかった入り口には、冠と鹿の彫り物が飾られ、「心に留めよ」との標語がかかげられています。
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 そして、これがコーダー家の紋章です。
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 1930年ごろまで使われていたという城の内部を見学します。快適な貴族の館といった風情です。
大きなタペストリーのかけられた部屋。
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 女性用のベッドルームがあったり。
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 居間があったり。
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 地下の台所があったり。
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 城の横手には小さな庭園が広がっています。
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 よく手入れされていますね。
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 刈り込みのあいだから、城の写真をとってみました。
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 われわれは、ここでランチをとり、午後2時過ぎ、キースの蒸留所へと向かいます。
 キースの町はずれにあるストラスアイスラ蒸留所です。
 ここは現存するスコットランド最古の蒸留所のひとつとされ、いまはシーバス・リーガルの基本モルトをつくっているとか。スコッチの好きな人には聖地ですね。
 15ポンドの入場料を払えば、なかを2時間見学できるのですが、どうやらその時間はなさそうです。ウィスキーのミニボトルだけ買い、受付のお姉さんに記念写真を撮ってもらって、すぐに出発します。
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 アバディーンに向かう幹線道路の途中、インヴァルリーという町から少しはいったところにストーンサークルがあるというので、寄ってみました。ストーンサークルは南のほうだけかと思ったら、こんな北にまで広がっているのは、ちょっと意外でした。
 案内板にはローンヘッドのストーンサークルと書いてありました。
 それによると、このストーンサークルは直径20.5メートルで、10個の立石でつくられています。まず目にはいってくるのは、南側の立石と横石の組み合わせからなる大きな石です。
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 その全体を写真に収めておきます(端にもう1個石があります)。向こうにぼさっと立っているのがぼくです。
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 10個の石は窪みの上に立てられており、そこには人が埋葬されているようです。真ん中のリングには、ケルン状に小石が積まれています。
 こうした横石のあるストーンサークルは、スコットランド特有のもので、ここアバディーン州だけでも70以上確認されているとか。ストーンサークルがつくられたのは先史時代で、紀元前3000年から1000年にかけてで、だいたいが南に面した高台に立っているといいます。実際、このストーンサークルからも小麦畑を見渡すことができました。
 ストーンサークルは何のためにつくられたのでしょう。太陽や月、星の運行と関係がありそうです。ここで何らかの祭祀がおこなわれていたのもまちがいないでしょう。ケルト人以前の世界です。
 そこから1時間足らずで、きょうの宿泊地アバディーンに到着。ホテルに着いたときは夕方5時近くになっていました。窓からはユニオンテラス公園の向こうに、こんな風景が広がっています。
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 雨のなか、港を通り、街のショッピングセンターを一回り。
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 ユニオン・ストリートを戻って、夕飯はホテルに近いインド料理屋にしました。
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 北海油田の拠点でもあるアバディーンはにぎやかな都会でした。

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