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インスリンショック? [かりんの話]

2月16日(土)
朝10時半、くわじま動物病院にかりんを迎えに行く。
ケージから出すとき、うなって大騒ぎする。
先生の話ではよく食べるようになったとのことだったが、家に戻ったあとは何も食べず、じっとしている。
2月17日(日)
きょうもかりんはまったく食べない。
このまま衰弱してしまうのだろうか。
かわいい顔をして寝ている。
ひなたぼっこをしながら逝くのも、悪くないかもしれない。
プールに行って少し泳ぐが、何だか情けなくなってくる。
怒りに 似た感情さえ湧いてくるのが不思議だ。
2月18日(月)
きょうもかりんはまったく食べない。
このまま即身仏になろうとしているかのようだ。
夕方帰宅してから病院に連れていき、状況を説明して、いつもの肝機能改善の薬とインスリンを注射してもらう。
2月19日(火)
1時40分、かりんの様子がおかしいのに気づく。
ベッドの足元で寝ていたかりんが、どさっという感じで毛布の下に潜り込み、はく前にだす低い声でニャオと鳴いた。
そのあと3回ニャオと鳴く。変だと思い、毛布をめくると手足が硬直し、瞳孔が開いていた。
思わず「お母さん、かりんが死んだ」とヨーコさんを起こす。
だが、まだ死んではいなかった。
虫の息だが、息はある。
でも臨終が近いと思い、ふたりでかりんをさする。
横になって手足を伸ばしたままで、意識はほとんどない。
このまま逝けば大往生だよねと話しながら、一生懸命、からだをさする。
医者に連れて行ってインスリンを打ってもらったのが悪かったというと、ヨーコさんが寿命だから仕方がないよ、このまま ご飯を食べないで、やせ細っていくのをみるのはつらいからという。
からだをさすりつづける。
4時ごろ、横になったままおとなしくなり、こ のまま息を引き取るように思えた。
疲れたのでこちらも横になる。
もう1時間もすれば冷たくなっていると思ったのだ。
4時半ごろ、気になってかりんのほうをみると、不思議なことにかりんが頭を持ち上げて、はらばいの姿勢になったのだ。
まだ生きてる。
インスリンショックの峠を越したのではないか。
いつもより1時間半遅れて朝6時半起床。
かりんの目が輝いている。
うずくまったままだが、こちらに 戻ってきたのだ。
もうろうとしたまま出社。
通勤途次、中沢新一『精霊の王』を読む。
生死を超える空間から神がこの世に出現する話だ。
いのち自体があずかりものだとすれば、かりんもそのいのちを神に返す時期が迫っているのだろうか。
夕方電話で先生に昨晩から今朝にかけての状況を説明する。
先生はそれはインスリンによる ショックとは考えにくく、どちらかというと肝臓の毒素が脳に回ったために生じたのではないかという。
たしかに手足の硬直症状は、急激な低血糖とは関係がないのかもしれない。
いずれにせよ、もはや医学の領域ではなく神の領域である。
「あとは家で看取ります。ありがとうございました」と話して電話を切る。
帰宅すると、かりんは穏やかそうな表情で2階のガスストーブの前に座っていた。
何も食べないし、水も飲まないという。
いよいよあと2、3日かと思い、だっこして下の寝室に連れて行く。
ぼくの足元の毛布のところに置いて、そのあと、シートを敷いた段ボール箱に移そうとすると、抵抗して、うなり声をあげて怒る。
まだ元気が残っている。


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