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猛暑は図書館で [雑記]


日中あまりに暑いので、近くの図書館で涼みながら雑誌を読むことにした。
夏休みが始まったせいか、中学生のグループの姿もちらほら見うけられる。その数が思ったほどではないのは、たぶん塾の日課に追われている子どもたちが多いからだろう。椅子に座って昼寝しているサラリーマン、新聞を握ったままぼんやりしている老人、かと思うと懸命に雑誌をよみふける定年をすぎたばかりの人、何か調べものをしている主婦、ぶつぶつ言いながら本を読んでいるわけありげな若者など、図書館はたしかに公共の場となっている。
総合雑誌が少なくなっているような気がする。「現代」がなくなったのは寂しい。それでも「文藝春秋」などは人気があって、いつでもだれかが借りている。そこで、あまりだれも読まない「世界」に目を通す。
8月号に伊東光晴さんが「心に確たる退行軸を」と題して、こう書いている。

〈自民党政府の失敗は、戦後の日本社会の安定を破壊した。鳩山内閣の失敗は、日本の国際関係の改変の難しさを物語っている。菅首相はこの二つに取り組まなければならない。そのいずれも一朝一夕にできるものではない。だからこそ、戦後日本の国民が共有した二つの理想主義を思いおこし、福祉社会に向かって一歩一歩進むスウェーデンのような改革への冷静な情熱と、世界平和を志向した憲法の理念を、冷戦後の、いや9・11後に具体化する国際関係へ向かって歩むことを期待してやまないのである〉

昔ながらの伊東節が健在である。
ところが、普天間の問題ひとつとっても、最近の日本人はどうにもふがいない。
寺島実郎は「日米同盟は『進化』させねばならない」と題して、そのふがいなさの正体をアメリカ依存思考にどっぷりつかった、外務省、防衛省の役人体質に求めている。

〈この二つの省の中核を支える官僚群のキャリアは「アメリカでの研修・実務体験と意思疎通」の中で形成されてきた。「アメリカへの配慮」と「アメリカの了解」が彼らにとって最も自然な現実的選択なのである〉

なるほど、こういう呪縛から抜け出せないかぎり、沖縄への米軍駐留という問題も永久に解決できないわけだ。いっぽうのアメリカは日本の思いやり予算のもとで、国内よりも安上がりに海外で便利な基地をもてるのだから、この願ったりかなったりの現状を、みずから放棄しないのは当然といえるだろう。
寺島の基本的な考え方は、日本の自衛隊が自主防衛に向けてしっかりとした対応がとれるようにすること、そして最終的には「駐留米軍のハワイ、グアムの線までの撤退」を実現させることだ。かれは「戦後日本に失われてきたものは自立自尊の意思である」と言い切ってはばからない。
なかなか勇ましい。
「文藝春秋スペシャル」は日本の旅の特集。旅行してみたくなった。
「本の雑誌」は上半期のベストテンを紹介。どれひとつ読んでいない。村上春樹の『1Q84』は酷評されている。この本だけはぼくも読んだ。評判なので、ただ読んだというだけだ。それしか印象に残っていない。

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