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きょうの1冊 [本]

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亀山郁夫『人生百年の教養──自分の人生と戦い続けるために』
タイトルが鼻につく。
教養はいやだ。自分の人生と戦い続けるのもいやだ。
それでも、著者の少年時代、青春時代の読書遍歴はおもしろい。
ドストエフスキーはすばらしい。
ドストエフスキーのことば。
「人間は謎です。それは解き明かさなくてはなりません。もし一生をかけてそれを解きつづけたとしても、時間を浪費したとは言えないでしょう。ぼくはこの謎と取り組んでいきます。なぜかといえば、人間でありたいからです」
スターリンの影。
「マヤコフスキーはスターリンの影に怯えていました。……恐怖から、文学が生まれました。詩の女神の背後には、スターリンの後光が輝いていました。マヤコフスキーは、なぜ自殺したのか、あるいは、謀殺されたのか?」
「20世紀ロシア最高の詩人とされるオーシプ・マンデリシタームは、独裁者スターリンをあからさまに批判する詩を書いたことで逮捕され、極東のラーゲリにて病死します」
「メイエルホリドは、1940年に66歳で処刑されました」
「ソ連を代表する映画監督エイゼンシュテインは、スターリンと摩擦が生じ、遺作となった『イワン雷帝』は公開をさし止められ、50歳の若さでこの世を去ります。心臓麻痺でした」
「キエフに生まれ、しばしば20世紀最高の小説家とまで目されるミハイル・ブルガーコフは、20世紀世界文学の最高とされる『巨匠とマルガリータ』の原稿を机の引き出しに入れたまま、48歳の若さでこの世を去ります」
かれらの無念を伝えなければいけない。
そして「老いの作法」。
乱読の楽しみと忘却の肯定。老醜ではなく老美。
「70代、80代を自信を持って生きるには、やはりそれなりの心構えが必要です。老いて弱者となった人間に活力を与えてくれるのが、読書であり、教養です。読書をしている人間、教養を積もうとしている人間、あるいは地道に自分の趣味の世界に生きる人間、その人たちに『老美』を感じます。単に読書するばかりではなく、衰えを知らぬ創造力が備わっていれば、むろん、何も言うことはありません」
ぼく自身、そんな生き方はできそうもないが、亡くなった母がよく「きれいなおじいさんにならんとあかんよ」と言っていたことを思いだす。まもなく七回忌だ。

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