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きょうの1冊 [本]

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きょうの1冊
佐高信『上品の壁──人間の器と奥行き』(2018、七つ森書館)
「上品の壁」が真実の追及を甘くする。それが大新聞の限界だ、と佐高はいう。
「極端に言えば、『真実は下品の中にこそ宿る』のである。『上品の壁』を乗り越えなければ、人間の器は大きくならない。」
人間の器が大きくなるかはともかく、「上品の壁」を乗り越えるという主張はまったく正しい。
この本で「魅力なき単色人間」として取りあげられているのは、次のような人たちだ。
安倍晋三、池田大作、ドナルド・トランプ、中曽根康弘、前原誠司、森喜朗、麻生太郎、竹中平蔵、石原慎太郎、曽野綾子、稲森和夫、橋下徹、北野武、佐藤優、司馬遼太郎、相田みつを、長谷川慶太郎、山口那津男、鈴木宗男、織田信長、日枝久、姜尚中、稲田朋美、猪瀬直樹、渡部昇一、松本人志、高橋洋一、三島由紀夫、塩野七生、沢木耕太郎
著者の好みがよくでている。ぼくも似たようなものだ。
5年前に出た本だから、いまならもっとちがう顔ぶれが加わっているかもしれない。
それにしても、へんな言い方かもしれないが、嫌いな人の好みがほぼ一致しているのがこわい。
これにたいし「奥行きのある人びと」として、挙げられているのは、あまり「大物」ではないが、ちょっといい話がある。
たとえば加藤登紀子の話。

〈デビューしてまもない頃、キャバレーをまわってシャンソンを歌っていると、毛唐の歌ばかり歌うなと言われて、全然聴いてもらえなかった。それで21歳の加藤は「一体どうすればいいんでしょうか」と並みいるゴロツキ客に向かって聞いた。すると、「おまえは童謡でも歌ってろ」と言う。
それで加藤は「わかりました」と言って、ステージであぐらをかき、知っている童謡を次々とアカペラで歌った。そうしたら、そのヤクザみたいなおっちゃんたちがボロボロと涙を流して泣き出したのである。忘れられない瞬間だった。〉

いい話だ。
ところで、最近、ぼくは「上品の壁」どころか、遠慮の壁のようなものをメディアの報道に感じてしようがない。
新聞を読んだりテレビをみたりしても、報道されるのは、これから戦争はどうなるとか、法案はどうなるとかいう技術的な話ばかり。あとになって、実はこうだったという話がでてくる。
ほんとうのことは隠されている(いや、隠れている)。あちこちに配慮して、できるだけ波風を立てないというのが報道(組織)の基本姿勢らしい。だから、ぼくなどには、何がおこっているのか、さっぱりわからないのだ。

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